
バルコニー・ベランダ
更新日:2025年11月27日
ベランダの掃き出し窓ってどんな窓?特徴やメリット・デメリットを解説
掲載日:2023年10月19日
「ベランダに大きな窓を設置して開放感のある空間を作りたい」という方が検討されるリフォームの一つが「掃き出し窓の設置」です。掃き出し(はきだし)窓は、天井付近から床上まである大きな窓で、明るく開放感のあるベランダ空間づくりを実現します。
ただし、メリットがある一方でプライバシー、防犯、断熱性といった無視できない注意点もあります。ベランダの窓リフォームを計画する際は、双方をふまえておくのが重要です。
ただし、メリットがある一方でプライバシー、防犯、断熱性といった無視できない注意点もあります。ベランダの窓リフォームを計画する際は、双方をふまえておくのが重要です。
この記事では、掃き出し窓の基本、メリット、デメリット、そして具体的な解決策を分かりやすく解説します。
【5分でわかる!】掃き出し窓の基本サマリー
この記事のポイントを先に確認しておきましょう。| 掃き出し窓の定義 | 天井付近から床上まで高さのある、引き戸タイプの大きな窓。 |
|---|---|
| 名前の由来 | 昔、ほうきで掃除したゴミを窓から庭に「掃き出していた」ことから。 |
| 最大のメリット | ①開放感が生まれる、②室内と屋外の出入りがしやすい、③高い採光・風通し |
| 主なデメリット | ①プライバシー・防犯面での不安、②外気の影響を受けやすい(暑い/寒い)、③音漏れのしやすさ |
| 解決策(リフォーム) | 高断熱窓(複層ガラス)への交換、二重サッシ(内窓)の設置、目隠し対策をする。 |
ベランダの「掃き出し窓」とは
住宅の窓には多くの種類がありますが、掃き出し窓とはどのような窓なのでしょうか。名前の由来や種類、他の窓との違いなどを詳しく解説します。
掃き出し窓の由来
掃き出し窓とは、天井付近から床あたりまで高さのある引き戸タイプの大きな窓です。かつて、ほうきで掃除していた時代に、大きなゴミを窓から庭へ掃き出していたことが由来とされています。
日本の住宅でもっとも主流の窓で、採光や風通し、出入りしやすさからの面からリビングやベランダに出る部屋に設置されるのが一般的です。
日本の住宅でもっとも主流の窓で、採光や風通し、出入りしやすさからの面からリビングやベランダに出る部屋に設置されるのが一般的です。
掃き出し窓の種類
掃き出し窓には、開閉方式の違いによって「引き違い窓」や「片引き窓」、「引き分け窓」などがあります。
引き違い窓: 2枚以上の窓を左右にスライドさせて開閉するタイプ。
片引き窓: 2枚の窓の片方が固定され、どちらか片方の窓だけを開閉できる構造。
引き分け窓: 中央の窓を左右にスライドさせ、両サイドの壁またははめ殺し部分に引き分けるタイプ。
掃き出し窓と他の窓との違い
窓には、掃き出し窓以外にも多くの種類があります。おもな窓を表にまとめましたので、リフォームする際はそれぞれの特徴をふまえた上で検討してください。
| 窓の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 天窓 てんまど |
天井に設置する窓です。開閉できない固定式と開閉式があり、固定式は採光に、開閉式は採光と換気に役立ちます。 |
| 出窓 でまど |
外壁の外に張り出した構造の窓です。壁面より外に張り出しており、部屋を広く見せる効果を発揮します。 |
| 高窓 たかまど |
天井に近い、高めの位置に設置する窓です。周辺に建物が密着している地域や障害物が多い場所などで、採光しやすいメリットがあります。 |
| コーナー窓 | 部屋の角部に設置する窓です。2カ所の方向から採光できるメリットがあります。 |
| 腰高窓 こしだかまど |
大人が立ったときの腰くらいの位置に設置する窓です。床からおよそ80~100cmに取り付ける窓で、採光よりも換気を目的に設置します。「腰窓」(こしまど)とも呼ばれます。 |
掃き出し窓の設置に適した場所と注意点
掃き出し窓の最大の特長は、最下部が床面に接しているため人の出入りがしやすいところですので、「リビング/ベランダ」、「リビング/庭」など、屋外に面している室内箇所に設置されることが多いでしょう。
設置場所の注意点として、掃き出し窓の前に家具を置くのを避けたほうがいい理由は以下の3点です。
1.窓の前に家具を置くと、人の出入りが妨げられ、掃き出し窓の最大の特長を活かせない。
2.大きな窓なので、近くに家具を置くと日焼けをしてしまう可能性が高い。
3.結露発生につながることがある。
ベランダに掃き出し窓を設置するメリット
掃き出し窓について理解を深めたところで、メリットを確認しておきましょう。ベランダの掃き出し窓には、おもに以下3つのメリットがあります。
① 室内と屋外の出入りがしやすい
ベランダに立ち上がりのない掃き出し窓を設置すれば、室内と屋外の出入りがしやすくなります。洗濯物を干す時や取り込み時はもちろん、ベランダを子どもの遊びなどに活用している場合に便利です。
さらに、ウッドデッキやステップ、スロープを掃き出し窓と合わせて設置することで、子どもから高齢者まで、さまざまな年齢層の家族の出入りがより快適になります。
さらに、ウッドデッキやステップ、スロープを掃き出し窓と合わせて設置することで、子どもから高齢者まで、さまざまな年齢層の家族の出入りがより快適になります。
➁ 採光・風通しを確保しやすい
天井付近から床上まである大きな掃き出し窓は、採光や風通しの確保に役立ちます。床に接していて遮る物がなく、取り入れた自然光で部屋を明るく照らせるのがメリットです。
曇った日でもある程度の明るさで照明を付ける必要がなく、節電にも効果を発揮します。また、自然の風をたっぷり取り込めば、気分をリフレッシュできるメリットもあります。
曇った日でもある程度の明るさで照明を付ける必要がなく、節電にも効果を発揮します。また、自然の風をたっぷり取り込めば、気分をリフレッシュできるメリットもあります。
③ 開放感が生まれる
大きな窓により、外の景色を見渡せて開放感が生まれます。また、壁に囲われている部分が少なくなり、部屋が広く感じられるでしょう。ベランダとの段差をなくせば、部屋が続いているような一体感も得られます。ベランダを屋外の部屋として活用したい方にも、掃き出し窓の設置がおすすめです。
ベランダに掃き出し窓を設置するデメリットと具体的な解決策
掃き出し窓には多くのメリットがある一方、以下のような気になる点もあります。メリットとデメリットの双方を把握した上で、ご自宅にぴったりなリフォームを計画しましょう。
1.プライバシーや防犯面で不安がある
掃き出し窓は眺望がよくて開放感がある一方、外からも中の様子を見られやすいデメリットがあります。特に1階のリビングに大きな窓を設置した場合、通行人の視線が気になってプライバシーや防犯面で不安を感じるといった声も聞かれます。
【解決策①】目隠し対策を施す】
外からの視線が気になるなら、外から見えにくい「ミラーレースカーテン」の設置がおすすめです。また、夜間に室内照明をつけても外から見えにくいカーテンもあります。
カーテン以外では、窓の外側にシェードを設置する方法や、お風呂場で一般的に採用されている「型(かた)ガラス」(型板ガラス)を検討してみましょう。ガラスの片側表面に凸凹を設けた構造により、外から中の様子を見えにくくする効果があります。
さらに安価な方法として、ホームセンターなどで販売しているスモークガラスフィルムを貼る方法もあります。ただし、夜に照明をつけている状態だと外から見えるほか、日中は外から光が入ってくる量が下がってしまうデメリットがあります。
2.外気の影響を受けやすい(断熱性が低い)
掃き出し窓にすると、窓の大きさから外気の影響を受けやすいのがデメリットです。窓を大きくしたことで、「夏は日当たりが良すぎて暑くなりすぎた。」や、「冬は冷たい風を窓一面に受けて寒くなってしまった。」という経験談も聞かれます。室内温度を適温にするために冷暖房器具の使用時間が長くなり、結果として「電気代が高くなってしまった」なんてこともあるかもしれません。
【解決策②】高断熱窓を選ぶ
冷暖房効率を高めるには、断熱性に優れた「高断熱窓」を設置するのが有効です。
特にガラスを2~3枚使った「複層ガラス」は、一般的なガラスと比べて高い断熱性を発揮します。窓枠(フレーム)にも、断熱性に優れた樹脂やアルミ樹脂複合素材を採用しているものを選ぶことで、熱の出入りを防ぎ、一年中快適な室温を保つのに役立ちます。
3.音が漏れやすく、外の音も入りやすい
窓は壁よりも音を通しやすい特性があり、大きな掃き出し窓にすると防音性が低くなります。大きな音でテレビを観たり、音楽を聴いたりすると外に音が漏れやすいですし、車やバイク、電車などの乗り物の音をはじめ、外からの音も入り込みやすくなります。
【解決策③】二重サッシ(内窓)にする
音漏れを防ぎたい、外からの音を遮断したい場合は、二重サッシ(内窓)にするのが最も有効です。二重サッシとは、既存の窓の内側にもう1枚窓を設ける構造で、間に空気層ができることで防音性を大幅に高められます。
二重サッシは、防音性だけでなく、優れた断熱性で寒さ・暑さ対策や、結露対策にも効果を発揮するため、窓の悩みをまとめて解決できます。ただし、1枚窓と比べて高価格であり、窓の開け閉めが2回必要になるというデメリットも留意しておきましょう。
4.カーテンの費用が高くなりがち
掃き出し窓は通常の窓よりも大きいので、カーテンも大きなものが必要です。サイズが大きくなる分、費用がかかることを覚悟しましょう。カーテンは数年に1回程度交換する必要があり、デザイン性やオーダーカーテンにこだわると、金銭的な負担が増える傾向があります。
まとめ
ベランダに掃き出し窓の設置を計画するなら、開放感や利便性という大きなメリットと、断熱や防犯といったデメリットの双方を理解し、検討することが重要です。
特に断熱性や防犯性に関するデメリットは、リフォームで解決できるものがほとんどです。
検討段階で迷った際には、専門的な知識を持ったリフォームのプロに相談するのがおすすめです。ご自宅やご家族のライフスタイルに適した窓の種類や対策を提案してくれるでしょう。
◆記事監修
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事
河田 崇
河田 崇
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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