ノウハウ

更新日:2025年09月04日

酷暑のリフォーム工事、職人さんを熱中症から守るために-ちょっとした理解と協力を NEW

掲載日:2025年9月4日

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毎年のように「記録的な暑さ」と言われる夏。
日中は35度を超えることも珍しくなく、外に出るだけで体がぐったりしてしまいますよね。そんな中でリフォーム工事をしてくださる職人さんたちは、炎天下や風通しの悪い室内で長時間作業を行うことがあり、常に熱中症の危険にさらされています。

熱中症は誰にでも起こり得るものですし、重症化すると命にも関わります。だからこそ、職人さん自身の注意はもちろん大事ですが、実は施主さんの理解とちょっとした協力が、職人さんの安全を守る大きな力になります。

ここでは、施主さんに知っていただきたい熱中症対策のポイントを、できるだけわかりやすくまとめました。
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① 水分や塩分の補給

暑い中での作業は汗を大量にかくため、ただの水分補給だけでなく塩分やミネラルも必要です。職人さんは自分で飲み物を持参していることが多いですが、施主さんが冷たいお茶やスポーツドリンクを差し入れてくださると、とても助かります。
「お気遣いなく」と言われることもありますが、実際にはそうしたちょっとした気配りが大きな支えになります。

② 朝、早めの工事開始

午前中のまだ涼しいうちに作業を進められると、職人さんの体の負担がぐっと軽くなります。
ただし、近所への音の配慮が必要なこともあるので、施主さんから「ご近所に声をかけておきましたよ」とひとこと伝えていただけると、とても心強いです。

③ こまめな休憩時間

「早く終わらせてあげたい」と思って、つい休憩を減らしてしまう職人さんもいます。でも、休まずに作業を続けると体温がどんどん上がってしまい危険です。
施主さんが「どうぞゆっくり休んでくださいね」と声をかけてくださるだけで、職人さんも安心して体を休めることができます。

④ 暑さのピーク時間は作業中断も

真夏の11時から15時は、特に危険な時間帯です。外での作業を無理に続けると、熱中症になる確率が一気に高まります。
「今日は暑いから、この時間は無理に作業しなくて大丈夫ですよ」と施主さんが理解を示してくださると、職人さんはとても助かります。
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⑤ サングラスの着用

炎天下での作業は、目に強い負担を与えます。本当はサングラスをかけたい職人さんもいますが、「失礼に見えないか」と気にして外してしまうことも。
施主さんが「安全のためにサングラスをしてくださいね」と言ってくだされば、安心して着用できます。

⑥ 室内工事でのエアコン使用

窓を閉め切った室内での工事は、外よりも気温が高くなることがあります。でも、電気代や音を気にして、職人さんが遠慮してしまうことも…。
「どうぞエアコンを使ってください」と施主さんから言っていただければ、作業環境は格段に快適になり、熱中症のリスクも減らせます。

⑦ 緊急時の連絡先確認

万が一、職人さんが倒れてしまったら、すぐに救急病院に搬送する必要があります。あらかじめ近隣の病院や緊急連絡先を確認しておけば、慌てずに対応できます。
これは工事会社と施主さんが一緒に確認しておくと安心です。

⑧ 疲れているときは早めに終了

工期を気にして無理をする職人さんもいますが、「今日はここまでで大丈夫ですよ」と施主さんが声をかけることで、安心して早めに作業を切り上げられます。結果として体調を崩さず、翌日からの工事も順調に進みます。

⑨ 余裕を持った工期

熱中症対策のためには、休憩や作業中断がどうしても必要です。そのため、ギリギリの工期では職人さんに大きな負担がかかってしまいます。
最初から余裕のある工期を認めていただくことが、安全で丁寧な工事につながります。

そのほかの工夫

他にも、

庭先に扇風機や日よけテントを用意する
冷却シートや保冷剤を差し入れる
  といったことも、現場の安全に役立ちます。
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安全を守ることは、品質を守ること

職人さんが無理をすれば、体調不良で工事が止まったり、仕上がりに影響が出たりすることもあります。逆に、安全に配慮して作業できれば、結果的に良い工事につながります。
つまり、施主さんの理解と協力は、職人さんを守るだけでなく、ご自身にとってもプラスになるのです。

まとめ

猛暑のリフォーム現場では、①水分補給、②早朝作業、③休憩、④ピーク時間の作業中断、⑤サングラス着用、⑥エアコン使用、⑦緊急時対応、⑧早めの終了、⑨余裕ある工期――これら一つひとつに施主さんの理解と協力が欠かせません。

職人さんは「施主さんに喜んでもらいたい」という気持ちから、つい無理をしてしまいがちです。だからこそ、施主さんから「安全第一でお願いします」と伝えていただけると、職人さんは安心して作業できます。

酷暑の中でも、みんなが安全に工事を進められるように。
ぜひ、施主さんも一緒に「熱中症予防」に取り組んでいただければと思います。
◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事 
河田 崇

元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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