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更新日:2024年12月24日
屋根の種類を特徴ごとに分かりやすく解説!メリット・デメリットは? NEW
新築やリフォームの際に頭を悩ませるのが「屋根」。おしゃれなデザインにしたいけれど、耐久性や耐震性なども考えたい。屋根の形や素材1つで住宅の印象はがらりと変わるため、せっかくならばとことんこだわりたいものです。
しかし、屋根は形と素材の組み合わせによって数多くのバリエーションがあるため、どれを選べば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、代表的な屋根の形と素材を列挙し、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。屋根の種類を選ぶ際のポイントも解説しますので、参考にしてみてください。
屋根の種類は、形と素材の組み合わせで選ぶ
屋根の種類は「形」と「素材」の組み合わせで選ぶのがポイントです。
ひとくちに屋根といっても、デザイン性を重視するのか、機能性を重視するのかなど、用途によって種類が大きく変わって来るのです。
また、屋根の形が複雑だったり耐用年数の長い素材だったりすると、その分コストが高くなることもあります。そのため屋根を選ぶ際は、求める機能や住宅構造、立地条件などを整理して、最適な形と素材の組み合わせを探し出していくことがおすすめです。
屋根の形の例
屋根の形はデザインや機能によって様々で、それぞれにメリット・デメリットがあります。ここでは、代表的な以下7つの形状を紹介します。
- 切妻屋根(きりづまやね)
- 寄棟屋根(よせむねやね)
- 方形屋根(ほうぎょうやね)
- 片流れ屋根(かたながれやね)
- 招き屋根(まねきやね)
- 入母屋屋根(いりもややね)
- 陸屋根(りくやね・ろくやね)
切妻屋根(きりづまやね)
傾斜面が2つ、棟(面と面が合わさる部分)が1つの一般的な三角屋根です。
水はけが良いため、雨漏りのリスクが比較的小さいことがポイント。シンプルな構造で施工がしやすく、コストを抑えやすいこともメリットの1つです。太陽光パネルも設置しやすいので、将来的にZEHなどの省エネ住宅を考えている場合には適した屋根といえるでしょう。
一方、シンプルな造りのため、独自のデザイン性を出しづらいというデメリットもあります。
寄棟屋根(よせむねやね)
傾斜面が4つ、棟が5つある形の屋根です。最上部の棟は「大棟」、傾斜面の棟は「下がり棟」といいます。
4方向に屋根があり、方角を気にせず建築できるので、斜線制限などがある立地では特にメリットが大きいでしょう。風を4方向から受け流せるため耐風性が高く、雨や紫外線から外壁を守り、劣化を抑制しやすいメリットもあります。
一方で、構造上、屋根裏のスペースが狭くなり、通気性が悪くなりやすい、大棟と下がり棟が合わさる「かき合い」の部分から雨漏りが発生しやすいなどのデメリットもあります。
また、屋根の面積が小さくなるため、太陽光パネルなどが設置できない可能性があることにも注意が必要です。
方形屋根(ほうぎょうやね)
傾斜面が4つあり、面が全て同じ形をしているピラミッド型の屋根で、寺院など正方形の建物に多く採用されていますが、一般住宅で採用しているケースも少なくありません。
メリットやデメリットは寄棟屋根とほとんど同じですが、大棟がないため、棟の数が寄棟屋根よりも少ないという特徴があります。
片流れ屋根(かたながれやね)
切妻屋根を半分に切ったような形をした、傾斜面が1つだけの屋根です。文字通り、雨や雪などが片方に流れるのが特徴です。
1面しか屋根を設けない分、屋根面積を広く確保できるため、太陽光パネルなどを設置しやすいメリットがあります。また、窓を高い所に設置できるため、採光にも適しています。屋根裏のスペースを広く取れるデザイン性の高さも魅力です。
ただし、1面だけで雨風などを受け止める構造のため屋根にかかる負担が大きく、傾斜の勾配が急だと雨量によっては雨どいが壊れる可能性があること、屋根で守られていない反対側は劣化しやすいことなど、耐久面へのデメリットがあることに注意が必要です。
招き屋根(まねきやね)
切妻屋根の片方の傾斜面を長く、もう一方を短くして段違いにし、屋根の頂点を中心からずらした形の屋根を指します。別名で「差し掛け屋根」とも呼ばれます。
多くの場合、長い傾斜面の頂点と短い傾斜面の頂点の間に外壁ができるため、そこに窓を設置して採光と通風が可能になります。屋根の構造上、強風に強いこともポイントです。
ただし、他の屋根と異なり、下側の屋根が外壁に接しているため、施工の際に雨仕舞いが適切に行われていないと、雨漏りが頻繁に発生してしまう可能性があります。
入母屋屋根(いりもややね)
寄棟屋根の上部に切妻屋根をのせたような形の屋根を指します。伝統的な日本家屋の屋根に多く採用されており、格調高い印象を与えるのが特徴です。
寄棟屋根と切妻屋根の両方の構造を併せ持つため、寄棟屋根の欠点である屋根裏のスペースの確保を可能にして通気性をよくしたり、切妻屋根の欠点である耐風性を担保できたりと、それぞれの利点を生かせる屋根です。
一方で、屋根面積が増えて構造が複雑になり、お手入れやメンテナンスのコストが高くなることがある、棟が多くなるため雨漏りのリスクが高くなるなどのデメリットもあります。
陸屋根(りくやね・ろくやね)
水平な屋根のことで、「平屋根」とも呼ばれます。
屋上をつくることができ、屋根上のスペースを有効活用できることがポイント。デザイン性も高く、モダンな建築などに採用されることが多くなっています。
しかし、平屋根は傾斜がないため排水性に難があり、雨や風の影響を受けやすいため雨漏りなどのリスクが高い傾向にあります。
断熱性が低いことや、他の屋根と比べてこまめなメンテナンスが必要になりやすい点にも注意が必要です。
屋根の素材の例
屋根の素材は、屋根本体の耐久性だけでなく、住宅全体に大きく影響を与えます。耐用年数やメンテナンスの頻度にもかかわるため、素材ごとの違いを把握して選ぶのが大切です。
ここでは、代表的な5つの屋根材を紹介し、それぞれの特徴を解説していきます。
- 粘土瓦
- セメント瓦・コンクリート瓦
- 化粧スレート
- トタン
- ガルバリウム鋼板
粘土瓦
粘土を焼いて作った瓦素材で、「陶器瓦」「いぶし瓦」「日本瓦」などとも呼ばれます。
耐久性・防音性に優れ、気温の変化に強く断熱性が高いのがポイント。デザイン性が高く、塗装の必要もないため、長期間にわたってランニングコストを抑えやすいメリットがあります。
デメリットとしては、瓦自体が重いため耐震性が低下しやすく、災害が発生した際に割れるリスクがあることなどが挙げられます。大まかな耐用年数としては50~60年程度とされています。
セメント瓦・コンクリート瓦
それぞれセメントとコンクリートを材料とした瓦素材で、「モニエル瓦」とも呼ばれます。
粘土瓦よりも安価で瓦のデザインを取り入れることができ、断熱性や防音性が高いことが特徴。粘土瓦と異なり、塗装も可能です。
しかし、セメントやコンクリートという素材の性質上、吸水性が高いため、塗装が剥がれると雨水をよく吸って脆くなり、割れやすくなってしまいます。また、瓦自体が重いので住宅の耐震性が低下する可能性もあります。このようなデメリットがあるため、近年ではほとんど生産・使用されなくなっています。
大まかな耐用年数としては30~40年とされ、10~15年程度で再塗装が必要といわれています。
化粧スレート
セメントを原料とした板状の素材で、昨今の新築住宅で採用されることが多くなっています。
瓦素材よりも軽く、耐震性に優れ、施工可能な業者も多いとメリットが多い素材です。
一方で、厚さ5mm程度と薄く割れやすい、経年劣化で耐久性や耐水性が低下しやすい、色あせや反りが発生するなど、デメリットも少なくないため意識しておくことが重要です。
大まかな耐用年数としては25~30年程度とされ、経年劣化で塗装が剥がれるため10年を目途に再塗装や板金交換が必要になるといわれています。
トタン
亜鉛でメッキ加工した鉄板の素材で、他の屋根材と比べて軽量で、建物への負担が少なく、耐震性に優れています。また、継ぎ目が少ないため雨漏りのリスクを抑えやすいメリットもあります。
一方、断熱性・防音性が低くなりやすい、錆が出やすくこまめなメンテナンスが必要などのデメリットも挙げられます。
大まかな耐用年数としては10~20年程度とされ、7~10年程度で再塗装や補修が必要になるといわれています。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム(アルミや亜鉛などの合金)でメッキ加工された鉄板の素材を指します。
軽量で耐震性に優れており、加工しやすく複雑な形状の屋根にも施工できるというメリットがあります。
防水性も高く、安価で施工できるため、現在の屋根に新しい屋根材を重ねる「カバー工法」に用いられることが多くなっています。
ただし、合金の性質上、熱伝導率が高いため、断熱性に乏しいという点を認識しておきましょう。また、トタンと同様に防音性が低いことにも注意が必要です。
大まかな耐用年数としては25~30年程度とされ、15~20年程度で再塗装が必要になるといわれています。
屋根の種類を選ぶときのポイント
屋根の種類を選ぶときは、屋根の形状と素材を組み合わせて考えるだけではなく、次に紹介する3つのポイントを押さえることが大切です。
- メリット・デメリットのバランスを考慮する
- どのようなメンテナンスが必要なのかを確認する
- 複数のリフォーム会社に相談する
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
メリット・デメリットのバランスを考慮する
屋根の形や素材には、それぞれにメリット・デメリットが存在します。メリットだけを見るのではなく、耐久性やコストといった複数の観点から多角的に見て判断することが大切です。
また、周辺の立地環境や、気温・気候などによっても、住宅に最適な屋根の組み合わせは変わってきます。「これじゃなきゃだめ」とはじめから絞り込まず、周辺環境などのバランスを考慮し、柔軟な選択ができるようにしましょう。
どのようなメンテナンスが必要なのかを確認する
屋根は、形や素材ごとに必要なメンテナンスが異なります。
例えば、片流れ屋根は雨風の影響を受けやすいため、梅雨や台風の時期にメンテナンスが発生しやすいです。一方、化粧スレートは割れやすく色褪せやすいため、塗装コストが発生します。このように、屋根のメンテナンス方法は様々です。
屋根を選ぶ際には、形だけでなく素材の耐用年数なども考慮し、数年~数十年後ごとにどのようなメンテナンスが必要になるのかを視野に入れておくことが大切です。
複数のリフォーム会社に相談する
屋根は住宅のデザイン性と耐久性の両方に影響する、大切な部分です。好みの形や素材が実際の住環境に適しているか、施工は可能かなど、プロの目線でないと判断が難しいこともしばしば。
そのため、自分たちのみで屋根の種類を選ぶより、リフォーム会社の意見を聞きながら選ぶことをおすすめします。プロの目線がなければ見落としていたポイントや、リフォーム会社ならではの提案を受け、住宅に合った最適な屋根の組み合わせを見つけやすくなります。
また、リフォーム会社に相談する際はなるべく複数の会社に見積りを依頼し、工事費用などが適正なものかどうかを確認するのもおすすめです。
まとめ
今回は、屋根の種類やそれぞれの特徴、選び方のポイントについて解説しました。
機能性やデザイン性、耐久性などの優先順位を考え、取捨選択しながら思い通りの屋根の組み合わせを見つけてみてください。
少しでも疑問に思ったことがあれば、まずはリフォーム会社への相談をおすすめします。
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(2022年3月7日掲載)
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