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更新日:2024年12月24日

上からかぶせる屋根材と外壁材の長所・短所 NEW

大きな面積を占める外壁や屋根は、家の外観イメージを決める大切な要素となっています。リフォームの際は、素材や色、デザインについてよく検討してから決めましょう。また、いつも日射や風雨にさらされている場所だけに汚れがつきやすいもの。定期的にメンテナンスし、いつもきれいな状態を保っておきたいもの。既存の外壁の上から外壁材をかぶせる「重ね張り工法」についてもご紹介します。

乾式工法と湿式工法の2種類がある

写真:乾式工法と湿式工法の2種類がある

住宅の外壁のタイプには、乾式工法と湿式工法があります。サイディングなどをビスでとめていく乾式工法は、工事が手軽で工期も早く済みます。一方、湿式工法は左官職人が手で仕上げていく工法で、施工時間はかかりますが、味わいのある仕上がりになります。

【乾式工法】
窯業系サイディング
セメント質と繊維質を原料にして板状に成形し、高温窯で焼き上げたもの。板状にするときにタイルや石積みなどの模様がつけられ、デザインや色も豊富。現在、新築一戸建て住宅の約7割で使われているほど、人気があります。

金属系サイディング
鉄やアルミニウムなどを成形した外壁材。非常に軽いため施工しやすく、値段も手ごろです。なかでも耐久性・耐候性が高いガルバリウム鋼板が人気です。

ALCパネル
ALCパネルとは、軽量気泡コンクリートパネルの略。内部に気泡が入っているため軽く、断熱性能にも優れています。主原料は、石灰質原料と珪酸質原料。鉄骨構造の建物に使われることが多い材で、初期費用は高めです。

木質系サイディング
天然木に塗装を施した外壁材。ほかの材料に比べると耐火性が劣り、建築場所によっては使用できない場合があるので事前に確認することが必要。防火処理を施したものも発売されています。


【湿式工法】
吹きつけ仕上げ(モルタル下地)
防水シートの上にラス網(菱形に編み込んだ金属網)の上にモルタルを3回塗り、スプレーガン(空気圧縮機の空気を利用し、液体を吹きつける装置)によりリシンを吹きつけます。リシンとは、白セメント、アクリル、顔料、砕いた石材を混ぜ合わせたもの。サイディングが登場する前は最も普及していた外壁仕上げです。

タイル
陶器製の外壁材。耐久性・耐候性・耐火性に優れていますが、現場での施工に時間がかかるほか、職人の腕が仕上がりを左右します。最近は、工場で加工された乾式のタイルが主流になっています。

人造石
セメントで本物の天然石のように作られた外壁材です。色合いや素材はさまざま。建物全体に使用するだけではなく、壁の一部分に使うと趣が出ます。材料費や施工費は、ほかの工法よりも高めになります。

塗り壁
左官屋さんがコテを使って塗り壁材で仕上げるタイプ。通常、外壁下地材にワイヤーラスなどの金物を張り、モルタルを塗ります。乾燥後、シーラーなどで下地調整をしたあと、耐候性、防藻性、防カビ性、防汚性に優れている外壁仕上げ材を使い、コテで仕上げます。また、防火性があり、昔から蔵の外壁にも使われてきた漆喰を塗ることもありますが、費用はかさみます。

定期的にメンテナンスをしよう

写真:定期的にメンテナンスをしよう

外壁が汚れると家の印象が悪くなります。そうならないためには定期的なメンテナンスが必要。外壁のリフォームは、竣工から10~15年ごとを目途に行うのが一般的です。外壁にクラック(ヒビ)や欠損部分を見つけたら、速やかにメンテナンスしましょう。サビやカビなども見逃さないように。

窯業系サイディング、金属系サイディング、ALCパネル、および吹きつけ仕上げの場合は、塗装剤の種類によって塗り替え時期が変わってきます。アクリル樹脂系は6~10年、ポリウレタン樹脂系は8~15年、シリコン樹脂系は12~15年、フッ素樹脂系は15~20年が目安。木質系サイディングは、木部表面の塗装の色が変わったら塗り替えを。塗料は仕上げによって変わり、塗膜を作って木目が見えない造膜系塗料の場合で7~10年、木目が見える半透明の含浸系塗料の場合は4~6年が耐用年数です。

タイルや人造石は汚れがつきにくく、メンテナンスはあまり必要ありません。ただし、目地はホコリなどがたまりやすいため必要に応じて水洗いしましょう。タイルや人造石の浮き、目地の破損、コーキングの劣化を発見した場合は、必要に応じて補修してください。

空気中の水分を吸着するシリカやフッ素を塗った親水性サイディングは、サイディングの上に常に水の膜を張っているので、汚れがつきにくくなっています。紫外線に当たることで有機物を分解する酸化チタンを使った光触媒サイディングも、長期間にわたってきれいな状態を保ち続けます。

重ね張り工法は結露に注意

写真:重ね張り工法は結露に注意

窯業系サイディングの耐用年数は10~15年、金属系サイディングは20~25年。この時期が来たら張り替えを行わなければなりません。古いサイディングをはがして下地から作り直します。張り替えをすることにより、外観のイメージを一新させることが可能。できれば、同時に耐震補強や断熱化を行うと、より快適で安全な住まいが実現します。

しかし、リフォームでは撤去、新規取りつけの両方の費用がかかるため、高額になりがち。そこで現在、多く行われているのが、今ある外壁の上に新しいサイディングをかぶせる「重ね張り工法」です。外壁が二重になり、断熱性能、防音性能がアップします。工事期間も短くて済み、新規の取りつけと比べて安価で済ませることができます。ちなみに、既存の屋根材の種類や躯体の強度などの条件によっては、屋根材も同様に重ね葺きすることが可能。二重の屋根になるため、断熱性が向上します。

重ね張り工法でいちばん気をつけばならないのが、結露。外壁を二重にした場合、空気の入口と出口を確保しておかないと内部で空気が滞留し、たまった湿気で結露が起きるおそれがあります。これを防ぐには、屋根や壁の下部に空気の入口を、上部に出口を作ること。あたたかい空気は上にのぼる性質があるので、自然に壁の中を空気が流れるようになり、結露が発生しにくくなります。正しい知識を持っているリフォーム事業者に依頼するようにしましょう。

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