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更新日:2026年03月31日
2026年最新|リフォーム検討者必見!「住生活基本計画」の要点と11の目標を解説 NEW
掲載日:2026年3月31日
はじめに
2026年3月27日、国の住宅政策の基本的な方向性を定める「住生活基本計画(全国計画)」が閣議決定され、国土交通省ホームページにて公開されました。
この計画は、住生活基本法に基づき、おおむね5年ごとに見直しが行われていて、今般、見直しを行った「新たな計画」ができあがった というわけです。
この計画は、住生活基本法に基づき、おおむね5年ごとに見直しが行われていて、今般、見直しを行った「新たな計画」ができあがった というわけです。
私たちはこれまで、「家は古くなったら建て替えるもの」「中古より新築が一番」という考え方が当たり前の時代を生きてきました。しかし、今の日本はもう家が足りない時代ではありません。むしろ、今ある家をいかに大切に使い、自分たちの暮らしに合わせて育てていくかが問われています。
これからの時代、人口減少や単身世帯の増加といった大きな変化が予想される中で、住宅政策はこれまでの「新築住宅を増やす」段階から、「すでに存在する住宅(ストック)を最大限に活用し、住まいの質を向上させる」段階へと明らかに移行しています。今回の計画は、2050年の日本社会の姿を見据えて策定されました。
私自身も、40年近く、住宅に携わる仕事をしてきましたので、この計画の中身には、非常に興味を持っていました。では、さっそく中身を読んでみましょう・・・
うっ、結構ボリュームがありますね(笑)。それだけ多種多様な課題があるということですが、これを全部、読み込むことは、普段、住宅関係の仕事をされていない方には、きついかも知れませんね・・・・
では、ビジュアルに示された「概要」を見ることにしましょう!これなら・・・・
「もう少し、シンプルにしたものは?」そんな声が聞こえてきました・・・
今回の新たな計画について、国土交通省は「住生活の将来ビジョン2050-人生100年時代の持続可能な住生活をめざして-」というリーフレットでコンパクトにまとめています。まずは、このリーフレットをご覧になると良いかも知れませんね。
さて、皆さんが、これからご自宅のリフォームを検討される際、キッチンや浴室の設備選び、間取りの変更といった目に見える部分に意識が向きがちですが、国がどのような住宅を「良質な住宅」と位置づけ、今後どのような改修・リフォームに対して補助金などの支援を重点化していくのかを知ることは、リフォーム計画を立てる上で、頭の中に入れておきたいものです。
本記事では、この新しい「住生活基本計画」に掲げられた「11の目標」について、リフォームという切り口で確認しながら解説いたします。
1. 新しい住生活基本計画が目指す「3つの視点」と「11の目標」
今回の計画では、「住まうヒトの視点」「住まうモノの視点」「住まいを支えるプレイヤーの視点」という3つの大きな枠組みから、合計11の目標が設定されています 。
目標それぞれが実際のリフォームにどのように関わってくるのか、私なりに整理してみました。
【視点1】住まうヒトの視点
まず、そこに暮らす人々の多様なライフスタイルを支えるための4つの目標です。
目標1:人生100年時代を見据え、高齢者が孤立せず、希望する住生活を実現できる環境整備
o 一番の願いは、住み慣れた家で最期まで安心して暮らすことですよね。「段差をなくす」というバリアフリーリフォームに加え、これからは「家の中の温度差をなくす」ことも重要視されます。冬のお風呂場での事故(ヒートショック)を防ぎ、家中どこにいてもポカポカ温かい家にすることで、健康寿命を延ばそうという目標です。
目標2:若年世帯や子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会の実現
o 若い世代が過度な負担を負うことなく、希望する住環境を手に入れられる社会を目指します。既存の住宅を子育てしやすいようにリフォームすることや、相続した空き家をリノベーションして、良質な住宅として有効活用することが大切になってきました。親子二世帯で住むためのリフォームや、子どもへの継承、住み継ぎを考えた「可変性のある間取り」も進んでいくかも知れません。
目標3:住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境・居住支援体制の整備
o 高齢者や障害を持つ方など、住まいの確保に配慮が必要な方々が、地域社会の中で孤立せずに暮らせる環境づくりを目指します。住宅確保要配慮者の方が住みやすくするためのリフォームも大切です。
目標4:過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備
o 住宅にかかる費用が生活を圧迫しないよう、無理のない負担で質の高い住宅を確保できる環境を整えます。そのためには、空家をリフォーム・リノベーションして有効活用することで、新築には経済的に手の届かない方の住まいの確保も進める必要があるでしょう。また、長期的な視点で費用対効果の高いリフォームを行うことも求められます。
【視点2】住まうモノの視点
次に、建物そのものの性能や価値を維持・向上させるための5つの目標です。
目標5:多世代にわたり活用される住宅ストックの形成
o 住宅を長持ちさせ、次の世代へ引き継ぐための目標です。「30年で価値がなくなる家」はもうおしまいです。しっかりとメンテナンスをすれば、50年、100年と住み続けられる、そんな頑丈で手入れのしやすい家を増やします。耐震性や省エネ性能、バリアフリー性能を向上させるリフォームが強く推進されます。内装、水周り部分など目に見える箇所だけでなく、建物の基本的な性能を高めることが重要視されています。
目標6:住宅ストックの性能や利用価値が市場で適正に評価され、循環するシステムの構築
o リフォームを行って家の性能を上げても、売却時に適正に評価されないという課題があります。「せっかくお金をかけて綺麗にしたのに、売る時は二束三文だった」……そんな悲しい思いをさせない仕組みを作ります。断熱改修をしたり、耐震性を強化したりしたことが、中古住宅としての「格付け」に正当に反映されるようになるべきですよね。住宅の性能や維持管理の状況、リフォームの履歴情報などを残し、安心して取引できる環境の整備が必要です。
目標7:住宅の誕生から終末まで切れ目のない適切な管理・再生・活用・除却の一体的推進
o 家が空き家になって放置されるのを防ぐため、適切な時期に維持管理やリフォームを行い、将来的な活用や処分までを見据えた計画的な管理が求められます。また、リフォームで出た廃材をリサイクルしたり、長く使える自然素材を選んだりすることが、これからのスタンダードになるべきなのかも知れません。
目標8:持続可能で多様なライフスタイルに対応可能な住宅地の形成
o 移住や「二地域居住」を考えると、親の実家のリフォーム、取得した空き家のリノベーションなどなど、住まいに手を入れる必要性が高まりそうです。
目標9:頻発・激甚化する災害に対応した安全な住環境の整備
o 地震に対する耐震改修はもちろんのこと、水害に備えた浸水対策(設備のかさ上げや止水板の設置など)や、停電時にエネルギーを自立して確保できるような改修など、自然災害から命と生活を守る機能の強化が進められます。災害時でも「家が一番安全な場所」であるようにしたいですよね。
【視点3】住まいを支えるプレイヤーの視点
最後に、工事を担う事業者や行政などに関する2つの目標です。目標10:担い手の確保・育成や海外展開等を通じた住生活産業の発展
o 今、大工さん不足が深刻です。質の高い住宅工事を継続して提供できるよう、大工さんなどの建設技能者を確保・育成する目標です。また、消費者が安心してリフォームを相談できる窓口の整備や、悪質な事業者への監督の徹底も引き続き大切です。
目標11:国と地方における住宅行政の役割の明確化と推進体制の整備
o 国と自治体が連携し、地域の特性に合わせた住宅施策を分野横断的に進めていくための体制づくりを定めています。
2. 計画を踏まえた、これからのリフォームの進め方
これら11の目標から私が読み取ったのは、国が「見た目の新しさ」よりも「建物の確かな性能」と「長期的な維持管理」に重きを置いているということです。
それを踏まえ、これから実際にリフォームを計画する際に意識すべき具体的なポイントを3つに整理してみました。
ポイント①:建物の「基本性能」の向上を最優先にする
リフォームの予算を組む際、まずは「耐震性」と「断熱性」の向上に予算を割り当てることが重要です。
特に断熱性の向上は、日々の快適さに直結するだけでなく、冷暖房にかかる光熱費を長期的に抑える効果があります。壁の中に断熱材を入れる工事や、現在ある窓の内側に新しい窓を設置する工事などは、国が推進する「省エネルギー化」に合致するため、活用できる補助金制度が充実しています。
建物の構造や断熱という、後からやり直すのが難しい基礎的な部分の改修を優先することが、結果的に家を長持ちさせることにつながります。
特に断熱性の向上は、日々の快適さに直結するだけでなく、冷暖房にかかる光熱費を長期的に抑える効果があります。壁の中に断熱材を入れる工事や、現在ある窓の内側に新しい窓を設置する工事などは、国が推進する「省エネルギー化」に合致するため、活用できる補助金制度が充実しています。
建物の構造や断熱という、後からやり直すのが難しい基礎的な部分の改修を優先することが、結果的に家を長持ちさせることにつながります。
ポイント②:長期的な視点で費用対効果を考える
「目標4」にあるように、無理のない負担で暮らし続けるためには、目先の工事費用だけでなく、その後の数十年にわたる維持費や光熱費を含めた全体の費用で判断することが大切です。
初期費用が少し高くなっても、耐久性の高い、あるいはメンテナンス・交換のしやすい材料を用いたり、エネルギー効率の高い給湯器を導入したりすることで、将来的にも、毎月の出費を抑えることができます。リフォームは一度きりの出費ではなく、その後の生活費全体に影響を与えるものとして計画を立てる必要がありますね。
初期費用が少し高くなっても、耐久性の高い、あるいはメンテナンス・交換のしやすい材料を用いたり、エネルギー効率の高い給湯器を導入したりすることで、将来的にも、毎月の出費を抑えることができます。リフォームは一度きりの出費ではなく、その後の生活費全体に影響を与えるものとして計画を立てる必要がありますね。
ポイント③:工事の履歴を確実に残し、保管する
「目標6」で示されている通り、これからは適切なリフォームが行われた住宅が適正に評価される社会へと変わっていきます。 工事が完了した後は、どのような材料を使い、家のどの部分をどのように改修したのかが分かる書類(図面、見積書、仕様書、工事中の写真など)を施工業者から必ず受け取り、大切に保管してください。
将来、さらにリフォームを行う際や、家を売却する際に、これらの記録が「適切に管理されてきた良質な家である」という客観的な証明となり、建物の価値を守る重要な役割を果たします。
将来、さらにリフォームを行う際や、家を売却する際に、これらの記録が「適切に管理されてきた良質な家である」という客観的な証明となり、建物の価値を守る重要な役割を果たします。
3. 2050年を見据えたリフォーム・リノベーション
2026年3月に閣議決定された今回の「住生活基本計画」は、私たちが現在住んでいる家を適切に手入れし、安全で快適な状態を保ち続けるためのベクトルを示しているものです。
決して私たちに「あれをしなさい、これをしなさい」と押し付けるものではありません。
「もっと健康に、もっと自分らしく、そしてお金の心配を減らして、この国で暮らし続けてほしい」という、国からのエールのようなもの・・・と言ったら言い過ぎでしょうか?
決して私たちに「あれをしなさい、これをしなさい」と押し付けるものではありません。
「もっと健康に、もっと自分らしく、そしてお金の心配を減らして、この国で暮らし続けてほしい」という、国からのエールのようなもの・・・と言ったら言い過ぎでしょうか?
リフォームは、日々の不便を解消するためだけに行うものではありません。
地震や水害といった災害への備えを固め 、年齢を重ねても健康的に過ごせる室内環境を整え 、建物の価値を次世代へと引き継ぐための大切な工程です。
リフォームは、ただの「お直し」ではありません。あなたがご高齢になっても、
地震や水害といった災害への備えを固め 、年齢を重ねても健康的に過ごせる室内環境を整え 、建物の価値を次世代へと引き継ぐための大切な工程です。
リフォームは、ただの「お直し」ではありません。あなたがご高齢になっても、
* ご家族やご友人を招きたくなる、明るいリビング。
* 膝に優しく、掃除がしやすい床。
* たとえ災害が発生しても、落ち着いていられる安心感。
そんな「毎日がちょっと嬉しくなる変化」を積み重ねて、あなたの家を世界で一番のパワースポットにしていきませんか?
計画を進める際は、設備の入れ替えといった目先の変更にとらわれず、「この改修は、10年後、20年後の安全で快適な暮らしにつながるか」という視点を常に持つことが重要です。そして、建物の構造や断熱といった専門的な内容については、住宅の性能向上について確かな知識を持ち、国の施策や補助金制度にも明るい、信頼できる施工業者に相談することが成功の鍵となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。国が発表する文章はちょっと難解・・・と思われる方が多いかもしれませんが、今回の「住生活基本計画」の奥には私たちの暮らしを良くするための想いが隠れています。
ご自身の住まいの現状を正しく把握し、将来を見据えた堅実なリフォーム計画を立てていくための参考として、本記事の内容をお役立ていただければ幸いです。
皆さんの理想の住まいづくり、リフォーム、リノベーションを、心から応援しています!
◆執筆者
一般財団法人住まいづくりナビセンター 専務理事
河田 崇
河田 崇
元 独立行政法人 住宅金融支援機構 部長
工務店向けの省エネ基準解説書や木造住宅工事仕様書の作成などに従事
マンション管理士 建築基準適合判定資格者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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